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ICT施工とは?ICT技術による施工の内容と課題について

更新:2022-05-13

ICT施工とは?ICT技術による施工の内容と課題について

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教育や医療、サイバーセキュリティなど、ICT(情報通信技術)は現代の私たちの生活を支えています。建設業では、土木工事を中心としたICT施工の導入が進んでいます。ICT施工の実施により、生産性や安全性の向上、コスト削減などさまざまなメリットが得られます。一方で、ICT施工の導入に対する課題があることも事実です。今回は、ICT施工の概要を踏まえ、ICT施工の内容と課題について解説します。

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■ICT施工の基礎知識

ICT(Information and Communication Technology)とは情報通信技術のことで、通信技術を活用したコミュニケーションや産業、サービスの総称です。ITは情報技術を指す言葉であり、ICTは情報伝達を重視した技術の活用方法、方法論を指します。国際的にはICTの名称が定着しているため、ITに代わってICTを用いるのが主流になっています。

ICT施工とは、測量から検査までの全行程で、情報通信技術を活用する建設生産システムのことです。国土交通省が提唱する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」では、土木工事でICT技術を活用したICT施工を推進しています。

これまで人の手で行なっていた作業をICT化することで、作業の効率化による生産性の向上、安全性の向上、品質の確保につながります。さらに、省人化によるコスト削減、生産性向上による工期の短縮、燃料費の節約といった効果も期待されています。

また、建設業界に根強く残る「3K」のイメージを払拭し、「新3K」(給与・休暇・希望)を実現することもICT施工を導入する目的の一つです。ICT施工により働きやすい環境に変わることで、人材不足の解消につながるでしょう。

 

■ICT施工の流れと施工の内容

先に述べたように、ICT施工では、測量から検査までの全行程でICT技術を活用します。建設の段階ごとに実施する、ICT施工の具体的な内容を解説します。

 

◇【測量】ドローンなどの機器による3次元測量

従来の測量業務では、距離と角度を同時に測るTS(トータルステーション)という測量機器を使用していました。TSでは点で計測したデータを積み重ねる必要があり、膨大な作業時間が必要です。

一方、ICT技術を用いた測量機器は「面」で測量できるため、従来の点で測定する方法と比べ、大幅な業務効率化が実現できます。さらにドローンを用いることで写真による測量が可能になり、上空から正確な地形データを収集することが可能です。

専用のソフトに写真を取り込むと、写真をもとにした3次元点群データ(※)、オルソ画像(空中写真のひずみを補正し、正しい大きさと位置情報を付与した画像)などのデータを自動で作成できます。3次元データを確認するだけで測量作業が完了するため、わずか1日で測量が終了します。

(※)3次元点群データとは、地上レーザ―スキャナーなど3次元測量によって得られた3次元座標を持った点データの集合のこと

また、地上から3次元点群データを収集できる、3Dレーザースキャナーという測量方法も拡大しつつあります。写真測量の工程を省くことが可能であり、さらなる業務効率化につながる技術です。ドローンの写真測量と3Dレーザースキャナーを併せ持つ「UAV3Dレーザースキャナー測量法」など、新しい技術が続々と登場しています。

 

◇【設計・施工計画】3次元の設計・施工データ

ドローンやレーザースキャナーで収集したデータをもとに、3次元設計データ、3次元施工データを作成できます。

3次元設計データとは、2次元の設計図面、測量で得た地形データ、位置情報などを重ねて3次元データを作成するものです。

3次元施工データとは、ICT建設機械をコントロールするための3次元データのことです。設計データをもとに施工データを作成するため、施工用として使用するケースもあります。

しかし、ICT建設機械による施工をスムーズにするには、現場の状況に合わせた施工用データを作成する必要があります。

ただし、3次元データにミスや不足があるとICT建設機械がうまく稼働しなくなり、従来の施工に変更せざるを得なくなるので注意が必要です。

 

◇【設計】ICT建設機械による施工

ICT建設機械とは、MC・MGのシステムを搭載した建設機械のことです。ICT建設機械は、MC(マシンコントロール)、MG(マシンガイダンス)の2種類に分類されます。

MCは建設機械をコントロールする技術のことで、自動運転が可能な建設機械です。これまでオペレーターの手動で操作していた作業を、3次元施工データをもとに機械が自動で施工してくれるものです。

一方、MGは現在地と設計データの目的地の距離を示す、いわゆるカーナビゲーションのような働きのことです。MCのような自動運転の機能はなく、オペレーターが建設機械を操縦する必要があります。

ICT建設機械は、バックホウ(油圧ショベル)、ブルドーザー、転圧ローラーなどに用いられています。MCのICT建設機械であれば施工がほぼ自動化されるため、作業の危険性が減り、正確な施工が可能です。

従来の施工では丁張りと検測が必要で、オペレーターの技能で施工時間が変わる、検測者の身に危険がおよぶといった課題がありました。ICT建設機械では丁張りと検測作業が不要、かつ3次元データをもとにするため、オペレーターの技能に左右されずに施工することが可能です。

また、建設機械のオペレーターは、心拍数が高くなる傾向があります。ICT建設機械の導入により、疲労やストレスなどの負担が軽減されます。

 

◇【検査】検査の精度の向上

ICT技術を導入すると、検査の精度がさらに向上します。3次元データにより部材の干渉を事前に検証できるため、検査日数と検査書類も大幅に削減できます。

また、すべての関係者とデータを共有できるため、確認作業や打ち合わせの時間も削減できるメリットもあります。

 

■ICT施工が抱える課題

さまざまなメリットがあるICT施工ですが、実際に導入する際に以下の課題があります。

 

◇ICT施工の導入コスト

ICT施工を実施するにあたり、建設機械やソフトなどを導入する必要があります。システムのアップデートにもコストが発生するため、投資におよび腰になる企業も多いようです。また、ICT施工の費用対効果が見えにくいことから、投資タイミングの判断が難しいという意見もあります。

なお、ICT人材の育成にもコストと時間がかかるうえ、育成した社員が他社に転職するリスクも考えられます。ICT施工に頼りすぎると技能が向上しないことも課題の一つです。

 

◇新たな技術を習得するのが負担

建設現場におけるICT施工の課題は、新たな技術を習得する負担があることです。施工管理や現場監督は現状の業務量が膨大なため、ICT施工の導入が困難に感じるケースもあるようです。

 

◇無線通信が可能な環境が必要

ICT施工には、無線通信が可能な環境の確保が必須になります。現場の環境によっては通信状況が安定しないことも少なくありません。通信が途切れる、ICTの機器が故障したといった場合、施工を中断せざるを得なくなる可能性があります。

 

■まとめ

ICT施工を導入すると、これまで人の手で行なっていた作業を機械化、自動化することが可能です。生産性や安全性の向上、コスト削減、工期の短縮、建設機械オペレーターの負担軽減など、さまざまなメリットが期待されます。一方で、導入コストや人材育成、通信環境などの課題があることも事実です。

とはいえ、建設業は今後も人材不足が続くことは予想されるため、ICT施工の導入で働きやすい環境にする価値は高いといえるでしょう。

 

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この記事を書いた人

ベスキャリ建設 編集部

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