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監理技術者とは?必要な資格要件・申請の流れ、業務内容や年収を解説!

更新:2025-04-02

監理技術者とは?必要な資格要件・申請の流れ、業務内容や年収を解説!

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一定の規模以上の大工事では、技術面で現場を統括する「監理技術者」を配置する必要があります。監理技術者は難しい大規模工事の責任者であることから、高い技術力と経験を有している必要があり、この職に就くには法律で定められた国家資格の取得などが必要です。

この記事では、監理技術者の業務内容や、監理技術者になるメリット、取得に必要な資格などに加え、監理技術者と主任技術者の違いなどについて解説します。

監理技術者とは?

「監理技術者」とは建設現場において、現場全体の技術面の管理監督を担う仕事です。 監理技術者になるには、1級土木施工管理技士や1級建築士、1級電気工事施工管理技士など、指定建設業7業種における1級国家資格などを保有しているか、建設業22業種において必要な実務経験年数を経るなどの要件を満たしている必要があります。

また、5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)の工事には、一現場に一人、監理技術者または監理技術者補佐を専任で置く必要があると定められています。 つまり監理技術者とは、一定の規模以上の現場に置かれる責任者であり、それだけに高い技術と豊富な経験が必要だと考えられているといえるでしょう。

なお、建設業法施行令の一部が改正され、令和7年2月1日より、監理技術者の配置が必要な建設工事などの金額要件が下記の通り引き上げられました。

金額要件 改正前 改正後

特定建設業許可を要する下請代金額の下限

4,500万円
(7,000万円)※1
5,000万円
(8,000万円)※1

施工体制台帳等の作成を要する下請代金額の下限

    4,500万円
(7,000万円)※2
5,000万円
(8,000万円)※2

専任の監理技術者等を要する請負代金額の下限

4,000万円
(8,000万円)※2
4,500万円
(9,000万円)※2

特定専門工事の対象となる下請代金額の上限

    4,000万円     4,500万円

※1 建築工事業の場合 ※2 建築一式工事の場合

出典:国土交通省 報道発表資料

監理技術者の役割と業務内容

監理技術者の仕事は、建設工事における技術的な管理を行うことです。

具体的には、施工計画の立案に始まり、着工後にはスケジュールどおりに工事が進んでいるかを確認する進捗管理や、施工図に基づいた品質管理、安全確保のための指導・監督などを担当します。これらの業務は多岐にわたり、工事全体の円滑な進行を支える重要な役割を担っています。

監理技術者と主任技術者の違いは?

監理技術者と似た役職に「主任技術者」があります。 監理技術者と主任技術者の大きな違いは、配置が必要とされる現場の規模です。

建設工事の現場には、工事金額に応じて配置される技術者が異なります。一般の工事では5,000万円以上、建築一式工事では8,000万円以上の現場に監理技術者を配置しなければなりません。一方で、一般工事で5,000万円以下、建築一式工事で8,000万円以下の現場には主任技術者を配置します。

  一般の工事 建築一式工事
監理技術者 5,000万円以上 8,000万円以上
主任技術者 5,000万円以下 8,000万円以下

 

業務内容は基本的に同じですが、工事の規模が大きくなるほど、管理や調整業務の負担も増し、工事をスムーズに進めることが難しくなります。そのため、監理技術者には主任技術者以上に高度な経験や技術が求められます。

また、資格要件にも違いがあり、監理技術者は1級国家資格の保有者などが該当するのに対し、主任技術者は2級国家資格の保有者などが対象となります。

監理技術者になるメリット

監理技術者は、規模の大きな工事において配置が義務づけられているため、需要の高い職種だといえます。近年、新たに「監理技術者補佐」の制度が設けられたことで、監理技術者が通常2つの現場を兼任できるようになりました。しかし、それでも高度な技術者の人材不足は続いており、この資格を保有していれば、就職や転職において非常に有利です。

たとえば、国や地方公共団体が発注する公共工事の入札では、企業の技術力などが点数化されて審査されます。この際、監理技術者の人数が多い企業ほど高く評価されるため、企業側も監理技術者資格の保有者を積極的に採用する傾向があります。

監理技術者の平均年収はいくら?

監理技術者の年収は、600万円~800万円とされています。国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均年収は約460万円ですので、比較すると監理技術者の年収は高水準であるといえるでしょう。

ただし、年収には勤務先や雇用形態によって大きな差があります。大手ゼネコンやサブコンなどの大企業では比較的高収入が見込める一方、中小企業では年収が抑えられる傾向にあります。

いずれにしても、監理技術者の資格を取得することは、企業内でのキャリアアップや転職活動の際に年収を上げる有力な手段となるでしょう。

監理技術者の資格要件

監理技術者資格を取得するには、指定建設業7業種で1級国家資格などを保有しているか、建設業22業種における実務経験がある必要があります。

指定建設業7業種の資格要件

指定建設業7業種とは、土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業です。 この7業種では以下の資格を取得していれば、監理技術者資格を取得することができます

<指定建設業7業種で認められている国家資格>

●技術検定(第⼆次検定合格者) 1級建設機械施⼯管理技⼠(旧:1 級建設機械施⼯技⼠)、1級⼟⽊施⼯管理技⼠、1級建築施⼯管理技⼠、 1級電気⼯事施⼯管理技⼠ 、1級管⼯事施⼯管理技⼠、1級電気通信⼯事施⼯管理技⼠、 1級造園施⼯管理技⼠

●建築⼠試験 1級建築⼠

●技術⼠試験(第⼆次試験合格者) 建設(「鋼構造及びコンクリート」以外)、総合技術監理:建設(「鋼構造及びコンクリート」以外)、 建設「鋼構造及びコンクリート」、総合技術監理:建設「鋼構造及びコンクリート」、 農業「農業農村⼯学」、総合技術監理:農業「農業農村⼯学」、 電気電⼦、総合技術監理:電気電⼦、 機械(「流体機器」及び「熱・動⼒エネルギー機器」)以外、 総合技術監理:機械(「流体機器」及び「熱・動⼒エネルギー機器」)以外、 機械「流体機器」⼜は「熱・動⼒エネルギー機器」、 総合技術監理:機械「流体機器」⼜は「熱・動⼒エネルギー機器」、 上下⽔道(「上⽔道及び⼯業⽤⽔道」以外)、 総合技術監理:上下⽔道(「上⽔道及び⼯業⽤⽔道」以外)、 上下⽔道「上⽔道及び⼯業⽤⽔道」、総合技術監理:上下⽔道「上⽔道及び⼯業⽤⽔道」、 ⽔産「⽔産⼟⽊」、総合技術監理:⽔産「⽔産⼟⽊」、森林「林業・林産」、 総合技術監理:森林「林業・林産」、森林「森林⼟⽊」、総合技術監理:森林「森林⼟⽊」、 衛⽣⼯学(「⽔質管理」及び「廃棄物・資源循環」)以外、 総合技術監理:衛⽣⼯学(「⽔質管理」及び「廃棄物・資源循環」)以外、 衛⽣⼯学「⽔質管理」、総合技術監理:衛⽣⼯学「⽔質管理」、衛⽣⼯学「廃棄物・資源循環」、 総合技術監理:衛⽣⼯学「廃棄物・資源循環」

●国⼟交通⼤⾂認定 認定業種(⼟⽊⼯事業)、認定業種(建築⼯事業)、認定業種(電気⼯事業)、認定業種(管⼯事)、 認定業種(鋼構造物⼯事業)、認定業種(舗装⼯事業) 、認定業種(造園⼯事業)  

建設業22業種の資格要件

建設業22業種とは、以下の業種です。この業種では必要な学歴・資格保有のほか、定められた実務経験年数があれば監理技術者の申請を行い、資格を取得することができます。

建設業22業種
  • 大工工事
  • 左官工事業
  • とび・土木・コンクリート工事
  • 石工事業
  • 屋根工事業
  • タイル・れんが・ブロック工事業
  • 鉄筋工事業
  • しゅんせつ工事業
  • 板金工事業
  • ガラス工事業
  • 塗装工事業
  • 防水工事業
  • 内装仕上工事業
  • 機械器具設置工事業
  • 熱絶縁工事業
  • 電気通信工事業
  • さく井工事業
  • 建具工事業
  • 水道施設工事業
  • 消防施設工事業
  • 清掃施設工事業
  • 解体工事業

<建設業22業種における学歴・資格と必要実務経験年数>

  学歴または資格 必要な実務経験年数
実務経験 指導監督的実務経験
 イ  学校教育法による大学・短期大学・高等専門学校(5年制)・専修学校の専門課程を卒業し、かつ、指定学科を履修した者 卒業後 3年以上 2年以上 (「実務経験」に もカウント可能)
学校教育法による高等学校・専修学校の専門課程 を卒業し、かつ、指定学科(13ペ-ジ)を履修した者 卒業後 5年以上 2年以上 (「実務経験」に もカウント可能)
建設業法施行規則第7条に定める技術検定 (1級)に合格した者 卒業後 3年以上 2年以上 (「実務経験」に もカウント可能)
建設業法施行規則第7条に定める技術検定 (2級)に合格した者 卒業後 5年以上 2年以上 (「実務経験」に もカウント可能)
定められた国家資格を取得している者
 技術検定2級又は技能検定1級などを有している者  
平成16年3月31日以前に技能検定2級などを有している者 合格後 1年以上 2年以上
平成16年4月1日以降に技能検定2級などを有している者 合格後 3年以上 2年以上 (「実務経験」に もカウント可能)
電気通信主任技術者資格者証を有している者 交付後 5年以上
上記イ・ロ以外の者 10年以上 2年以上 (「実務経験」に もカウント可能)

※資格要件など詳しくは、建設業技術者センター発行の手引きなどをご確認ください。

監理技術者になる流れとは?

監理技術者として建設工事に携わるには、①「監理技術者資格者証」の交付を受けると同時に、②監理技術者講習を受講していることが必要です。ここでは手続きの主な流れについて説明します。

資格者証の取得

監理技術者資格者証の交付申請は、一般財団法人建設業技術者センターに行います。インターネットと書面、どちらでも申し込みが可能です。

1級国家資格などの条件を満たして申し込む場合と、実務経験を満たして申し込む場合とでは申請様式が異なります。申請に必要な主な書類は以下のとおりです。

<共通>

申請に必要な書類
  • 交付申請書(1級国家資格などによる申請と実務経験による申請とでは様式
  • カラー写真 ・申請者が建設業者に雇用されていることを示す書類のコピー(健康保険証など)
  • 建設業許可の通知書か建設業許可証明書のコピー
  • 交付手数料を払い込んだことを証明する書類
  • 資格者証送付用封筒
  • 本人確認書類のコピー(運転免許証など)
  • 監理技術者講習修了履歴ラベルの拡大コピーか受講証明書のコピー

<1級国家資格等による申請者>

申請に必要な書類
  • 登録解体工事講習修了証か、解体工事の実務経験証明書と証拠書類のコピー(該当者のみ)

<実務経験による申請者>

申請に必要な書類
  • 監理技術者資格を満たしていることを示す書面のコピー

1級国家資格などの取得者であるかどうかは、センター側で国土交通省などへの照会を行うため、書面のコピーなどは不要です。

監理技術者講習の受講

監理技術者講習を受講します。 監理技術者講習では、監理技術者の職務に必要な知識や法律制度、建設技術の動向などを1日で学ぶものです。1日の講習が修了した際に、講習受講証明書(修了履歴)が交付されます。

監理技術者交付申請と講習の受講は、どちらを先に行っても構いません。先に交付申請をした場合は講習を修了したことを示すラベルを、自分で監理技術者資格者証の裏面に貼り付ける必要があります。

就業開始

監理技術者は工事現場に入る際には、監理技術者資格者証を携帯していなければなりません。発注者から求められた場合には資格者証の提示が求められます。 注意したいのは、監理技術者資格証と監理技術者講習修了証はそれぞれ有効期限があることです。監理技術者として働くためには、2つともに有効期限内である必要があります。 詳しくは後述しますので、そちらをご確認ください。

監理技術者の配置基準の緩和とは?

2020年に改正建設業法が施行されたことで、監理技術者の現場への配置基準が緩和されました。改正前は4,500万円以上(建築一式の場合は7,000万円以上)の現場には監理技術者を専任で置く必要がありましたが、法改正によって監理技術者が2つまで現場を兼務することができるようになりました。

この法改正の背景には、建設業界の人手不足があります。特に監理技術者などの高度人材の不足は深刻であり、基準緩和によって人手不足を解消すると同時に、若手の登用機会を拡大するねらいもあります。

監理技術者が現場を兼任する場合、監理技術者は「特例監監理技術者」となり、代わりに監理技術者を補佐する「監理技術者補佐」を専任で配置します。 監理技術者補佐になるには、1級施工管理技術士検定の1次検定(学科)に合格している必要があります

「施工管理技士」は建設、土木、電気工事、管工事、造園、建設機械、電気通信工事の分野に分かれており、分野ごとに「建設施工管理技士」「土木施工管理技士」となります。 施工管理技士には1級と2級があり、検定はいずれも1次検定(学科)、2次検定(実地)が行われます。

1級も2級も1次検定に合格すれば、「1級施工管理技士補」「2級施工管理技士補」の資格が付与され、このうち1級施工管理技士補が監理技術者補佐を務めることが可能です。

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監理技術者に関するよくある質問

ここでは、監理技術者に関するよくある質問に対して、Q&A形式で回答します。気にある項目があればぜひチェックをして、疑問や不安を払拭しましょう。

管理と監理の違いとは?

「管理」は、主にスケジュールや工程、また品質や安全などに気をつけ、これをさばくことをいいます。 一方、「監理」は、主に工事の内容を確認し、図面どおりに工事が進んでいるかを確認することをいいます。 「管理」の業務を行う者は有資格者が望ましいとされますが、「特定の資格をもっていなければ行えない仕事」ではありません。 しかし「監理」を行う者については、特定の資格を有していることが求められます。 そのため実際の現場では、監理技術者の資格を持っている者が管理業務を兼任することもよくあります。

監理技術者資格者証の更新はいつ?

監理技術者資格者証の有効期限は交付日から5年間であり、資格者証に日付が記されています。 ただし1級国家資格などの有効期限がある場合は、5年間にならないことがあるので注意が必要です。 監理技術者資格は更新日の6カ月前には更新のお知らせ通知が届くので、期限内に手続きを行いましょう。

また、前述のとおり、監理技術者資格を得るには資格者証の交付と同時に監理技術者講習を受講する必要があります。 監理技術者講習の有効期限は修了した日付から5年後の12月31日までとなっているため、これも期限内に再受講が必要です。

出典:監理技術者資格者証の交付後に必要となる手続き

お仕事探しはキャリアアドバイザーにご相談下さい

監理技術者とは大規模な工事現場において工事全体を管理統括する重要な仕事です。 それだけに資格取得には高いハードルがあるといえますが、一方で建設業界は深刻な人手不足に直面しており、制度改正などによって若手がキャリアアップし、監理技術者を目指しやすい環境が整えられてきました。

その意味で建設業界は、20代から30代の若年層や経験が不足している方にもさまざまなチャンスのあるということができるでしょう。 建設業界は制度改革を進めてより働きやすい環境を整えるなど、日々状況が変わりつつあります。このような建設業界で監理技術者として転職を目指す場合、建設業に強いキャリアアドバイザーが力になります。不安や悩みを抱えている方は、ベスキャリ建設のキャリアアドバイザーにぜひご相談ください。

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この記事を書いた人

ベスキャリ建設 編集部

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