工事現場において、安全かつ品質の高い建物が計画通りに完成するように導く「施工管理」。施工管理の仕事に興味があり、求人に応募しようと考えているものの「施工管理を目指しているけど、志望理由が思いつかない」「どんな風に自分をアピールしたらいいのか分からない」という悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。
今回は、施工管理職の求人に応募する際の志望動機の書き方について解説します。新卒・中途・未経験・女性の場合の例文をそれぞれまとめたので、志望動機を考える際に役立つでしょう。実際の作成例やポイントなどもあわせてご紹介しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
●施工管理の求人情報を探す
> 建築施工管理 > 土木施工管理 > 電気施工管理 > 空調衛生施工管理
施工管理とは?
施工管理とは、建設現場にて設計図面などをもとに現場の作業員へ指示を出したり、施工スケジュールの調整や品質管理・安全管理などを手掛けたりする職種です。施工管理職の業務内容は主に4つに分類できます。
4大管理 | 詳細 |
---|---|
工程管理 | 竣工までのスケジュールを立て、工事の進捗を管理する |
品質管理 | 仕様どおりに作業が行われているか管理する |
安全管理 | 事故を未然に防ぐために管理する |
原価管理 | 施工予算を当初の予定どおりに収められるよう管理する |
株式会社One Terraceが、建設業で従業員数300名以下の代表取締役および取締役102名を対象にアンケート調査を実施したところ、「施工管理技士の採用が難しい」と回答した人は全体の53.9%と半数を占めていることがわかりました。
また、その理由として「各企業で施工管理技士の需要が増加しており、取り合いになっている」と回答した人が40.0%、「採用市場に施工管理技士の人材がいないから」と回答した人が38.2%という結果が出ています。このデータから、施工管理の仕事は需要が高く、多くの企業が施工管理技士を求めていることがわかります。
施工管理に関わる国家資格として「建築施工管理技士(1級・2級)」と「土木施工管理技士(1級・2級)」が挙げられますが、取得するには実務経験が必要となるため、未経験者での採用において資格の有無を問うことはありません。新卒や未経験で施工管理の職種に就いた場合、会社の研修や試験費用の補助などのサポートを受けながら、施工管理技士の資格取得を目指すのが一般的です。
参照:53.9%の地方建設業が「施工管理技士の自社採用」に課題 施工管理技士の不足で、「案件の受注体制」など経営課題に直結する悩みも | 株式会社One Terraceのプレスリリース
施工管理の志望動機を作成する前に考えておくべきこと
履歴書に志望動機を記載する際に「何を書いたらいいのか分からない」「どのようにアピールすべきか分からない」と困ってしまう人も多いでしょう。採用担当者や面接官の心に刺さる志望動機を考えるためには、事前準備が必要になってきます。
ここでは、施工管理の志望動機を作成する前に考えておくべきことを3つご紹介します。
1. なぜ施工管理を志望するのか
そもそもなぜ施工管理という職種を志望するのか、考えるところから始めてみましょう。とくに、業務未経験の場合は施工管理を選んだ理由について、明確に伝える必要があります。具体的な内容を伝えるためには、施工管理がどういった仕事に携わるのかも理解しておくことが大切です。施工管理の業務内容を知っていると、履歴書を書くときだけでなく面接でもスムーズな受け答えがしやすくなります。
2. なぜこの企業を選んだのか
施工管理を募集する企業は数多くありますが、その中でなぜ応募先の企業を選んだのかも考えておく必要があります。企業を選んだ理由を明確にしておかなければ、「施工管理として働ける職場ならどこでもいいのでは」と思われてしまう可能性があります。企業を選んだ理由は面接でもよく聞かれる内容なので、あらかじめ考えておくとよいでしょう。
なぜ応募先の企業を選んだのかを考えるにあたって、その企業についてよく知っておくことが大切です。企業のホームページを閲覧するだけでなく、同業他社との比較や市場内での立ち位置なども調べておきましょう。また、会社説明会やインターン、OB・OG訪問を行っているのであれば、積極的に参加するのがおすすめです。
3. 施工管理として企業にどのように貢献できるか
応募した企業へ入社した際に、施工管理としてどのように貢献できるのか、将来のビジョンも考えておくことが大切です。入社後にどのように貢献できるかや、将来のビジョンを伝えることで、採用担当者は自社に採用するメリットを感じられます。新卒や未経験者の場合は経験や実績でアピールするのは難しいため、自分の強みをどのように施工管理に活かし、企業へ貢献できるのかを具体的に説明します。
企業への貢献については、その企業が行っている業務内容をきちんと理解している必要があるため、企業研究は欠かさず行うようにしましょう。
また、志望理由では自分の強みもアピールしていく必要があるため、自己分析も必要となってきます。施工管理にどのように自分の強みを活かせるかを考えるためには、具体的にどのような強みを持っているか明確にすることが大切です。そのため、自分がこれまでに頑張ってきたことや経歴、実績などを振り返りながら、施工管理に活かせる強みを見つけましょう。
施工管理の志望動機において評価につながるポイント8選
施工管理の志望理由・志望動機を作成する際には、ただ施工管理として働きたい旨を伝えるだけでなく、企業に貢献できることもアピールすることが大切です。そこで、施工管理の志望理由・志望動機においてアピールにつながるポイントをご紹介します。
1. リーダーとしてのマネジメント経験
施工管理の志望動機に「リーダーとしての経験やマネジメント経験」を含めることでプラスに働く場合があります。
学生時代や社会人経験において、リーダーを務めていたことがある場合、そのマネジメント経験を志望理由の中でアピールすることも可能です。施工管理は現場の作業員をまとめ上げ、全体を管理する仕事でもあることから、チームを率いるリーダーシップが求められます。ただ指示を出すだけでなく、作業員一人ひとりの状態も管理し、問題なく働けているかを確認することも大切です。
リーダーを務めていなかった場合でも、例えばリーダーの補佐として全体を管理する経験をしたことがある場合は、アピールポイントになるでしょう。
2. コミュニケーション能力
施工管理の志望理由においては、コミュニケーション力が評価の基準になる可能性があります。
施工管理は現場の作業員一人ひとりとコミュニケーションを取り、何か異変や問題があればすぐに対応して作業を進める必要があります。そのため、相手の意見をよく聞きながら、自分の意見もきちんと伝えられる高いコミュニケーション能力が必要です。自分よりも経験が豊富な作業員に対して指示を出すこともあるため、どのような人ともコミュニケーションが取れることをアピールできるとよいでしょう。
コミュニケーション能力をアピールする際には、より深堀りして具体的な内容にすることで説得力を増すことができます。コミュニケーション能力は大きく以下の3つに分類することが可能です。
- ・伝える力
- ・聴く力
- ・連携する力
自分はこの中で何を得意としているのかを深堀することで、訴求力も高まります。
3. 問題解決能力の高さ
施工管理の志望動機において、問題解決力を持ち得ていることをアピールすると、評価される可能性があります。
建設現場はそれぞれの現場で環境が大きく異なったり、外での作業となるため天候の影響を受けたりすることも多いです。状況の変化によってさまざまな問題が浮上してくることもあります。例えば、機材が突然故障してしまい、作業のペースが遅くなるなどです。こうした問題が生じた際に、解決するためには何が必要なのか、どのような対策を講じればよいかを考え、決断する力が必要です。
問題解決能力の高さを志望理由でアピールする際には、問題を迅速に発見できる力と冷静に判断・対処できる力があることを説明しましょう。また、過去に失敗した出来事に対してどのように改善し、問題解決に至ったか具体的なエピソードがあれば盛り込んで志望理由を作成してください。
4. マルチタスクへの対応力
施工管理は多くのタスクをこなす必要もあることから、マルチタスクへの対応力が評価につながる可能性もあります。
施工管理の業務は大きく4つに分類できることを冒頭でもご紹介しましたが、多岐にわたるタスクを同時にこなす必要があることがわかります。例えば、工程管理では施工計画書が予定どおりに行われるよう工程の作成・調整を行い、人員の調整から重機の手配なども行います。
計画や施工に不具合が生じた際には、その都度工程を見直し、改善や調整を図らなければなりません。さらに、原価計算で人件費や材料費の管理を行ったり、施工時の安全点検や作業員の健康管理も行ったりします。こうしたタスクを並行して行うため、マルチタスクへの対応力が評価につながりやすいのです。
5. 安全管理への意識の高さ
施工管理の業務にも含まれる「安全管理」に対して、意識の高さを志望理由でアピールできると評価につながりやすいです。
施工管理は作業員の安全を確保できるよう、常に環境を整える必要があります。工事現場では高所での作業や重機を操作する場面も多く、一歩間違えれば危険にさらされてしまうことも少なくありません。安全点検や作業員の健康管理なども含めて、工事現場における安全管理を担うのは、施工管理の大きな役割といえるでしょう。
そのため、志望理由の中で安全管理への意識の高さもアピールポイントにつながります。安全管理の重要性は、施工管理が担う責任や業務内容を理解できているからこそ把握できる部分でもあるため、施工管理の業務についてよく学んでおくことが大切です。
6. 原価管理における数字への強さ
原価管理を正確かつスムーズに行うには、数字への強さも必要となってくるため、志望理由に含めると評価を得られやすくなります。
施工管理の業務には原価管理も含まれます。原価管理は人件費や材料費など、施工にかかった原価を計算し、予算内に収めるための仕事です。安全管理などももちろん重要ですが、予算を超えてしまうと会社の収益が減少したり、スケジュールを再度見直したりする必要が出てくるため重要な仕事です。
原価管理においては、数字に対する強さを持っていることもアピールポイントにつながります。関数・マクロの知識や発注・予算管理の経験など、データ管理や数的処理が得意であることを志望理由の中で説明しましょう。
7. 学習意欲と資格取得への意識の高さ
学習意欲や資格取得に向けた意識の高さについて触れることで、評価につながる可能性があるでしょう。
新卒・未経験で施工管理職を募集している求人は、入社後に施工管理技士の資格取得に向けたサポートを実施しているケースもあります。これは、建設現場において監理技術者または主任技術者の配置が建設業法で義務付けられているためです。施工管理技士の1級を取得すると監理技術者および主任技術者として、2級を取得すると主任技術者として活動できます。
資格取得を強制されることはありませんが、資格の取得を一切考えていない人と、学習意欲が高く資格取得に向けて意識の高さが見られる人では、後者を採用したいと考えるでしょう。
また、施工管理技士の資格を取得することで業務の幅も広がります。入社後に経験を積みながら資格取得に向けて前向きに努力できることを、志望理由のなかで「これまでに資格を取得した経験がある」「継続して勉強に取り組んでいる」などとアピールしてみましょう。
8. 体力や精神的な強さがあること
施工管理の仕事に限らず、体力や精神的な強さをアピールすることで評価につながる可能性があります。
施工管理はデスクワークに加え、現場での仕事もあるため、ある程度の体力が必要です。例えばビルの建設現場ではエレベーターなどがないため、高層階まで行くには階段での上り下りをすることになります。さらに、突然のトラブルが発生したり納期に間に合わなかったりする場合には、残業することや休日出勤が必要となるケースもあるでしょう。企業でもなるべく残業や休日出勤をなくせるように、業務効率を高めるシステムの導入などが進んでいるものの、どうしても対応が難しくなる場合もあります。
こうした理由から、施工管理の仕事に就くのにある程度の体力を持っていることも、アピールポイントになりやすいです。身体的な体力はもちろんですが、精神的な強さがあることもアピールできるとよいでしょう。例えば「目標に向かって継続できる力がある」「挫折してもすぐに立ち直る精神力がある」などです。精神力の強さもアピールできると、体力だけだと太刀打ちできない業務も、うまく自分をコントロールして乗り越えてくれるかもしれないといったイメージにつながります。
【面接・履歴書】施工管理における志望動機の例文
施工管理の志望動機を作成したいものの、なかなかうまく文章が思いつかないという方もいるはずです。そんな方に向けて、ケース別に志望理由・志望動機の例文をご紹介します。
履歴書の志望動機の記入欄はもちろんのこと、面接時の受け答えとしても使える例文となっているのでぜひチェックしてみてください。
【新卒で未経験者の場合】志望動機の例文
新卒・未経験者の場合、これまでに学校やアルバイトなどで学んできたことを応募先の企業でどう活かせるのか、また資格取得に向けて勉強する意欲があることなどを含めると、アピールにつながります。
【中途で未経験者の場合】志望動機の例文
中途かつ未経験では、前職での知識や経験をどのように活かせるのをアピールするのが重要となってきます。
【中途で経験者の場合】志望動機の例文
中途で経験者の場合、志望理由にはこれまでに経験してきたことや、自身がどのようにスキルを活かせるのかをアピールすることが重要となります。
【女性の場合】志望動機の例文
建設業界では、女性を積極的に採用している傾向にあり、女性が働きやすい環境が整っています。女性は細かな部分にも気づきやすく、安全管理や工程管理、品質管理などさまざまな面で力を発揮しやすいため、女性ならではの強みをアピールするのもよいでしょう。
【男性の場合】志望動機の例文
建設業界は徐々に女性の比率は増えてきているものの、現場はまだまだ男性が多いのが現状です。男性の場合は女性と比べて特別にアピールする部分は少ないものの、体力に自信があることなどはアピールできます。
施工管理の志望動機を作成する際の注意点
施工管理の志望理由・志望動機は、以下のポイントも踏まえて作成するようにしましょう。
抽象的な表現を避け、具体性を持たせる
志望理由を作成する場合、なるべく抽象的な表現は避けて具体性を持たせることがポイントになります。抽象的な表現で志望理由を作成すると、その企業を選んだ理由としての納得感が得られないためです。
例えば「経営理念に共感し、入社したいと考えました」「弊社で活躍できると思います」などの抽象的な表現に留まってしまうと、なぜその企業で働きたいと思ったのか、同じ業界内でも他の企業ではなくこの企業を選んだのはなぜかがわからず、採用担当者を納得させることができません。
具体性を持たせるためには、実際に体験したことやエピソードを組み合わせることで採用担当者も納得しやすい志望理由を作成できます。ただし、体験やエピソードの内容が後ろ向きだと、マイナスの印象を与えてしまう可能性もあるため注意してください。
より具体性を引き出したい場合は、当時感じたこと・考えたことを語ったり、数字を使うようにしたりすると具体性が増します。
結論ベースの構成を心がける
志望理由を作成する際は結論ベースの構成を心がけることも大切です。志望理由の作成時に陥りやすいこととして、施工管理の仕事に対する熱意を伝えようとするあまり、長々とした文章になってしまうケースがあります。長くなってしまうと結果的に何が言いたいのかわかりづらくなり、せっかくアピールしても良い印象が残らなくなってしまいます。
結論を先に述べることで、伝えたいポイントを相手にスムーズに理解してもらえるでしょう。施工管理の志望理由を作成するときは、PREP法に当てはめながら作成するのがおすすめです。PREP法とは結論から先に述べ、理由と具体例を話し、最後にもう一度結論を伝える方法を指します。PREP法を用いることで志望理由をわかりやすく相手に伝えられます。
待遇や条件面だけを強調しない
施工管理の志望理由として、待遇や条件面だけを強調するのは控えたほうが良いでしょう。
待遇や条件面を志望理由で強調してしまうと、採用担当者から「仕事には興味がなさそう」と思われる可能性があります。志望理由が待遇や条件面だけになってしまうと、会社に貢献したいのではなくただ給与が高いから、条件がいいからという理由で会社を選んだことになるためです。
実際に応募先の企業を選んだ理由の1つに待遇や条件面があったとしても、わざわざそれを志望理由に書く必要はありません。 志望理由では待遇や条件面を話すよりも、仕事で発揮できる能力やスキル、入社後どのように会社へ貢献していけるのか意欲やビジョンを伝えた方が印象も良くなります。
他社にも当てはまる内容を避ける
志望理由を作成するときは、他社にも当てはまるような内容は避けた方がよいです。 志望理由を作成する際に、他の会社にも応募することを考えて使い回せるように作成しようと考える方もいるかもしれません。しかし、他社にも当てはまるような内容で志望理由を作成すると、「自社でなくてもよいのでは?」など、採用担当者に疑問を与える可能性もあります。
例えば「社会貢献がしたい」「日本に留まらず世界で活躍できる人材になりたい」といった理由は、自社だけでなく同業他社にも当てはめることができる内容です。具体性にも欠けているため、その会社が持つ特徴や強みにスポットを当てて志望理由を作成するようにしましょう。
【まとめ】施工管理の志望理由を完成させ、内定を勝ち取ろう!
今回は、施工管理の志望理由・志望動機の作成方法について解説してきました。 施工管理の志望理由を作成する際には、業務内容の把握や企業研究、自己分析も十分に行った上で作成に取りかかるとよいでしょう。今回の記事を参考にしつつ、熱意が伝わり説得力もある志望理由を作成してみてください。
10,000件以上の豊富な案件を保有する求人サイト「ベスキャリ建設」では、建設業の就職・転職活動のサポートを行っています。未経験OK・研修が充実している求人情報も多数見つかります。
また、建設業界に精通する専任のアドバイザーが、あなたにピッタリな求人紹介から就業後のアフターフォローまでサポートいたします。建設業界の仕事に興味がある方は、ぜひ「ベスキャリ建設」に登録して自分の希望を満たした求人を見つけましょう。