「建設業は男性の仕事」というイメージが強く、女性の入職者はまだまだ少ないのが実情です。長らく男性社会だったこともあり、労働環境が女性に適応していないことが影響しています。しかし、人手不足が続く建設業において、女性を増やす取り組みが加速しつつあります。
今回は、建設業で働く女性の割合や男女比、女性の入職者を増やす取り組みについて解説します。女性が活躍している建設業の業種もまとめたので、ぜひチェックしてみてください。
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建設業界で働く女性の割合|2025年最新
2024年9月下旬~10月上旬に国土交通省に実施された「令和6年度 建設産業における女性定着促進に関する実態等調査結果」によると、建設業界における女性の就業割合は、全体で約38%となっています。就業者数268,234人 のうち、女性数は44,854人です。特に技術者における女性の割合は約10%、技能者ではわずか2%と依然として低水準だといえます。
ただし、2024年度の新規採用では、技術者の20%、技能者の6%が女性であり、少しずつ女性の進出が進んでいる状況です。一方、事務系職種では女性比率が38%と比較的高く、女性の活躍が目立ちます。今後は、働きやすい環境の整備や意識改革を通じて、さらなる女性の定着促進が求められています。
- 技術者(設計者含む):1,559人(20%)
- 技能者:41人(6%)
- 事務系: 1,074人(47%)
- 上記以外:2,048人(21%)
※技術者:施工管理や設計、測量、地質調査など、建設現場の計画や管理に関わる職種
※技能者:実際に現場で建設作業を行う職人など、施工に直接関わる職種
※事務系:人事・経理・営業・法務などのオフィス業務や、現場での事務作業を担当する職種
建設業で働く女性を取り巻く環境
育休や産休などの環境が整っていない企業が多いうえに、支援の取り組みをする予定がないという企業も未だに根強い状況です。その背景に、人手不足で代替要員の確保が難しいという根深い事情もあります。
女性用の更衣室や休憩室、トイレ、作業服などの設備面は改善されつつあります。しかし、工具や仮設材は、女性に適したものはあまり導入されていない状況です。
建設業で働く女性に朗報!「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」の詳細
女性の入職者を増やす取り組みとは、官民で推進する「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」です。2014年に策定された、この計画の目的と目標、4本の柱となる具体的な取り組みを紹介します。
「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」の目的とは?
女性の技術者・技能者を5年以内に倍増させる目標のため、建設業が女性にとって活躍できる産業に生まれ変わることが計画の目的です。女性の入職者が増えることで、効率的かつ快適な職場環境の整備につながることが期待されています。
女性が建設業で働きたいと思ってもらえるよう、以下の取り組みの実施が計画に盛り込まれています。
女性の「入職促進」の取り組み
力仕事、男社会のイメージが根強い建設業に女性を呼び込むには、女性を積極的に受け入れる土台が必要です。しかし、産休や育休、セクハラ対応などが遅れている企業側では、女性の採用に消極的というケースも少なくありません。
女性に慣れていない建設業において、女性の活躍推進の必要性を理解し、女性の受け入れ体制を整えることが入職促進の取り組みです。入職促進の具体的な取り組みは、以下のものが挙げられます。
- 女性を受け入れる姿勢や熱意をメッセージで発信する
- 理解度を高め、企業の受け入れ態勢を整える
- 小中学生や高校生、大学生、保護者に対し、建設業の魅力、仕事のやりがいなどをPRする
- 家庭との両立ができる労働環境の整備
- 工事現場における女性の登用、技術・技能の向上
「就労継続」の取り組み
せっかく女性が入社したものの、退職してしまうケースは珍しくありません。就労継続の取り組みでは、女性用の更衣室やトイレなどのハード面、ライフイベントや家庭との両立が可能な長く働ける環境の整備を目指します。
長時間労働の短縮や適正な工期の設定といった時間面の改善や、ハラスメントの防止や特別扱いしない女性との接し方など、意識面の改革も取り組みに含まれています。
「更なる活躍とスキルアップ」の取り組み
女性にやりがいを持って働いてもらうため、現場で女性を積極的に登用し、女性が自発的にスキルアップできる環境を整えることも重要な取り組みの1つです。女性の技術や技能の向上を目指す研修制度や自己啓発、やりがいにつながる表彰制度などの取り組みを予定しています。
女性の活躍を発信する「情報発信」の取り組み
「建設業で女性が活躍中!」という情報を発信し、社会の目に触れる機会を増やすことで、建設業に興味を持ってもらうことが取り組みの趣旨です。建設業のポータルサイトや女性技術者が現場で活躍する姿を、新聞広告やCM、建設業のポータルサイト、インターネット配信などで世に広めます。
また、地方公共団体や建設業界などが、地域ぐるみで情報発信を行なうことも必要です。地域レベルで女性の活躍を支えることで、その情報が全国に広がり、やがて根付いていくことが期待されています。
女性が活躍中!建設業のおもな業務
男性中心の建設業界ですが、女性が活躍している業務があることをご存じでしたか?そこで、実際に多くの女性が活躍する業種と、女性に向いているポイントを紹介します。
CADオペレーター
CADオペレーターとは、設計者が作成した設計図を図面にデータ化する仕事です。建設業で数少ないデスクワーク、かつ女性が得意とする細かい作業が多いことから、多くの女性がCADオペレーターとして活躍しています。
また、CADオペレーターが女性に適しているもう1つの理由は、柔軟性のある4ができることでしょう。フルタイムの正社員や契約社員、派遣社員、アルバイトと、生活環境に応じた4を選べます。
CADオペレーターは専門性の高い仕事のため、派遣社員やアルバイトも時給が高めという点もメリットといえます。また、高度なスキルが身に付けば、ゆくゆくは正社員で在宅勤務することも可能です。
施工管理
施工管理とは、建設現場の工程や原価、安全などを管理する業務のことです。工事を円滑に進めるために現場をまとめることが施工管理の仕事で、現場の巡回と作業員への指示、管理にともなう事務作業などを行ないます。施工管理では実際に施工に携わらないため、力仕事が苦手な女性でも働きやすい業務といえるでしょう。
そして、施工管理の仕事は作業員や設計者、施主、役所職員など、多くの関係者とのコミュニケーションが欠かせません。共感能力に優れている女性は、相手に共感する形でコミュニケーションをとるため、人間関係が円滑になるといわれています。また、女性目線・主婦目線を持っており、男性の施工管理者にはできない実用的な提案ができることも女性の強みといえるでしょう。
左官職人
壁などの仕上げや下地を整える左官職人は、繊細で丁寧な仕事が求められます。完成度が重視される左官職人は建設業で女性に向いている業務の1つで、実際に多くの女性が活躍しています。
左官の技術は数年かけて身に付けるため、代替要員がすぐに見つかることはほぼありません。そのため、女性のライフイベントや生活環境に対し、労働時間の調整や産休、職場復帰など企業が柔軟に対応する傾向にあります。また、左官職人の仕事は基本的に朝型で、繁忙期を除くと残業も多くありません。子育てや家事と両立しやすいことも、左官職人で活躍する女性が多い理由の1つです。
セメントを運んだり、ミキサーでかく拌したりといった力仕事や、1日中の立ち仕事で体力が必要ですが、左官のスキルは一生ものであり、左官職人を目指すことは大きな価値があるといえるでしょう。
まとめ
建設業で働く女性の割合は約38%と徐々に増えてきています。さらに、「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」の取り組みが進むにつれ、女性が働きやすい業種に変わっていくでしょう。
また、CADオペレーターや施工管理、左官職人の業種は、実際に多くの女性が活躍しています。女性ならではの丁寧さや共感性など、男性にはない特性で仕事が効率的、かつ円滑に進んでいます。
しかし、「建設業に興味があるけど、本当に働けるか不安……」、と考える女性もいることでしょう。そんなときは、建設業に精通したベスキャリ建設のキャリアアドバイザーにご相談ください。
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