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施工管理技士補とは?メリット・業務内容を解説

施工管理技士補とは?メリット・業務内容を解説

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「施工管理技士」は建設業法に基づく国家資格で、建設工事などでの施工管理に必須の資格です。2021年4月に施工管理技士の検定制度が改正され、「施工管理技士補」が導入されました。今回は施工管理技士補が誕生した理由や、施工管理技士補の業務内容、資格を取得することのメリットを1級、2級と分けてご紹介します。さらに、施工管理技士補検定内容や合格率などもあわせて解説します。

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制度改正で「施工管理技士補」の資格が導入     

最初に施工管理技士補とはどのような資格か、その概要や資格が創設された理由について見ていきましょう。

施工管理技士補とは

そもそも「施工管理技士」とは、建設現場で施工管理を担う専門家であることを示す資格です。施工管理技士は、建築施工管理技士、土木施工管理技士、電気工事施工管理技士など7つの分野に分かれており、それぞれ1級、2級があります。

施工管理技士の資格を得るには、施工管理技術検定の第一次検定(学科試験)、第二次検定(実地試験)に合格する必要があります。1級施工管理技術検定に合格すれば1級施工管理技士を、2級に合格すれば2級施工管理技士となります。
7分野に分かれているため、正式名称は「1級土木施工管理技士」「1級電気工事施工管理技士」などとなり、土木施工管理技士は土木関連の工事に、電気工事施工管理技士は電気設備の工事に従事します。

施工管理技士補は、2021年4月1日から導入されました。
前述のとおり施工管理技術検定は第一次検定、第二次検定で構成されていますが、学科試験である第一次検定に合格すると、自動的に「施工管理技士補」という資格を得られます。正式名称は施工管理技士と同様分野によって異なり、1級の場合は「1級土木施工管理技士補」「1級電気工事施工管理技士補」などに、2級の場合は「2級土木施工管理技士補」「2級電気工事施工管理技士補」などとなります。

施工管理技士補が新設された理由

監理技術者不足の解消

施工管理技士補の導入には主に2つの理由があります。1つは、「監理技術者」の不足を解消するためです。

建設業法では請負金額4,500万円以上(工事一式の場合は7,000万円以上)の大規模現場には、工事を指揮監督するために監理技術者を配置することが定められています。監理技術者は責任のある仕事であるため、他の現場との兼務はできません。
監理技術者になるには、1級施工管理技士の資格が必要です。
しかし建設業では深刻な人手不足が続いており、監理技術者になれる1級施工管理技士が圧倒的に不足しています。そこで、導入されたのが施工管理技士補です。

1級施工管理技士補は、監理技術者の補佐として現場に就くことができます。その場合、監理技術者は「特例監理技術者」に名称が変わり、2現場を兼務できるようになります。

なお、2級施工管理技術検定の第一次検定に合格して得られる2級施工管理技士補の資格は、何かの補佐ができるわけではありません。しかし、資格手当が支給される、転職で有利になる、より幅広い業務を任されるなど優遇されることが多くあります。

建設業界の担い手・若手不足

2019年に建設業関連の3つの法律(建設業法、公共工事入札契約適正化法、公共工事品質確保促進法)が改正され、この法律はまとめて「新・担い手三法」と呼ばれています。
それはこの3つの法律の改正によって、建設業の人手不足(担い手不足)を早急に解消しようとの目的があるからです。

この法改正により、公共工事の適正な工期設定、建設業許可の社会保険加入要件化、労務費の現金払いの促進などが進められました。それにより建設業の働き方改革を加速し、若手の入職・育成を促そうとの狙いがあります。施工管理技士補が導入されたのも、それらの施策の一貫です。

施工管理技士補の新設で建設業界は変わっていく

新・担い手三法の一環として施工管理技士補が導入されたことで、建設業界はどのように変化してきたのでしょうか。

まず監理技術者不足の改善には、直接的な好影響を与えたと考えられます。監理技術者が2現場を兼務できるようになったことで、よりスムーズな施工が可能になったといえます。
もう1つは、若手の活躍の場が広がったことです。施工管理技士補として大規模現場の施工管理業務を従来よりも早い段階で経験できることは、若手のモチベーション向上や成長を後押しします。またそのことは、建設業という業界自体の魅力向上にもつながっていると考えられます。

施工管理技士補の導入も含めたさまざまな取り組みによって、建設業の労働環境は改善しつつあります。その影響は、若手の減少の下げ止りに現れているようです。
建設業の29歳以下の割合は2002年の19.1%から2013年の10.2%と約10年間で10%程度減少しました。しかし2022年は11.7%であり、2013年から2022年の約10年間はほぼ横ばい、または微増で推移しました。
明るい傾向としては、新規学卒者の入職が増加していることです。2009年の2万9,000人から、2021年には4万4,000人、2022年には4万3,000人にまで増加しています。この20年間でこの2年間は最高人数となっています。


出典:一般財団法人日本建設業連合会「建設業就業者の高齢化の進行」「新規学卒者の入職状況」

施工管理技士補のメリット・業務内容

次に、施工管理技士補の役割について説明しましょう。具体的な業務内容は建築、土木、電気など、それぞれの分野によって異なりますが、主な役割自体は共通しています。

・工程管理
工事を進める事前準備として工程表を作成し、人員や機材、スケジュールの調整を行うのが工程管理です。施工管理技士とともに、施工の進捗状況を常に把握し、こまめにスケジュールを調整していくことが求められます。

・品質管理
品質管理は、建設に用いる資材が仕様書や設計図書で定める品質を満たしているか確認する仕事です。所定の検査で資材の品質を確認する他、施工中の写真を撮影して記録を残すなどの細かな業務を担う場合もあります。

・施工計画の立案
指定された予算どおりに工事を進めるため、各工事の作業工程を踏まえて具体的な工法を決定するのが施工計画の主な内容です。工法の他にも予算管理や資材の発注、資材の使い方を考えたり、廃棄物の処理方法を決定したりといった業務も施工計画に含まれます。

そのほかにも、資材の発注や予算管理、ほかの社員への指導や発注者との打ち合わせなどの業務を行います。

1級施工管理技士補

すでに述べたとおり、1級施工管理技士補は監理技術者補佐として働くことができるのが最大のメリットです。監理技術者補佐は、大規模現場を担当する特例監理技術者のアシスタントとしてさまざまな業務を補佐します。

具体的には、工程管理や品質管理、施工計画の立案、発注者との打ち合わせや現場従事者への指導、資材の発注、予算管理などについて、監理技術者の補佐として現場との間をつなぎながら、スムーズに工事を進めます。
特例監理技術者は2つの現場を兼務するため、状況に応じてその代理として工事の進捗を確認するほか、現場従事者や発注者への説明などを行うことも  あるでしょう。また現場の状況を特例監理技術者に報告し、その後の動きについて指示を仰ぐといった動きも必要になります。

補佐といいながら責任のある仕事であり、1級施工管理技士を目指して実務経験を積むことができます。1級施工管理技士を取得し、監理技術者として独り立ちした際に、補佐として働いた経験が大きく役立つことはいうまでもありません。

また、求人の中には応募条件に1級施工管理技士補の有資格者を指定している場合もあるため、キャリアアップにつながりやすい点もメリットといえるでしょう。

2級施工管理技士補

2級施工管理技士補の資格は、実務経験の有無を問わず満17歳以上であれば誰でも取得できます。学生でも取得可能であり、現場で何かの役割を担えるわけではありませんが、就職活動や転職活動でアピールできるというメリットがあります。

就職活動中の学生であれば、企業に対して、就職前に一定の業界知識をもっていることをアピールできるため、高評価につながりやすいでしょう。
また企業にとっては、公共工事の入札参加で必要とされる「経営事項審査」で、施工管理技士補も含めた有資格者が社員としていることは加点対象となることから、採用するメリットにもなります。

また、2級施工管理技士、1級施工管理  技士補…とステップアップにつながる資格でもあるため、学生の方や転職希望者など、建設業界を目指している方におすすめといえます。

施工管理技士補の試験内容や合格率について

施工管理技士補になるには、施工管理技士の第一次検定に合格する必要があります。例として、建築施工管理技士の第一次検定の試験内容や合格率について見ていきましょう。

1級建築施工管理技士補の試験内容

すでに述べたように、施工管理技士補の資格を得るには、施工管理技術検定の第一次検定(学科試験)に合格する必要があります。
施工管理技術検定は建築、土木、電気工事など7分野に分かれていますが、いずれも1級、2級があり、それぞれ検定は学科試験である第一次検定と実地試験である第二次検定からなる構成は同じです。

1級建築施工管理技術検定の第一次検定は、建築学等、施工管理法、法規の3科目について実施されます。それぞれの内容は以下のとおりです。

検定科目

検  定  基  準

建築学等

 

1 建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な建築学、土木工学、電気工学、電気通信工学及び機械工学に関する一般的な知識を有すること。


2 建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な設計図書に関する一般的な知識を有すること。

施工管理法

 

1 監理技術者補佐として、建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な施工計画の作成方法及び工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する知識を有すること。


2 監理技術者補佐として、建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な応用能力を有すること。

法   規

建設工事の施工の管理を適確に行うために必要な法令に関する一般的な知識を有すること。

引用 :令和6年度 1級建築施工管理技術検定 第一次検定・第二次検定 受検の手引き(一般財団法人 全国建設研修センター)

2級建築施工管理技士補の試験内容

2級の第一次検定は、施工管理を適確に行なうために必要な基礎的な知識が問われます。1級よりも知識のレベルや範囲が限定的になるのが特徴です。
1級と同様、建築学等、施工管理法、法規の3科目について実施されます。それぞれの内容は以下のとおりです。

検定科目

検  定  基  準

建築学等

 

1  建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な建築学、土木工学、電気工学、電気通信工学及び機械工学に関する概略の知識を有すること。


2  建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な設計図書を正確に読みとるための知識を有すること。

施工管理法

 

1  建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な施工計画の作成方法及び工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する基礎的な知識を有すること。


2  建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な基礎的な能力を有すること。

法   規

建築工事の施工の管理を適確に行うために必要な法令に関する概略の知識を有すること。

引用 :令和6年度【前期】 2級建築施工管理技術検定 第一次検定のみ受検申請専用受検の手引き(一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部)

土木施工管理技士補の合格率

令和5年度の1級建築施工管理の第一次検定の合格率は、41.6%という結果でした。一方、2級土木施工管理技士の第一次検定では、37.7%となっています。
合格率は1級、2級いずれも40%程度であるので、建築施工管理技士補は比較的難度が高い資格といえるでしょう。

施工管理技士試験制度を改正した理由の1つには、受検のハードルを下げ、受検者数を増やすことがあります。改正後は第一次検定合格が無期限で有効になり、いつでも第二次検定を受検できるようになりました。また1級の第二次検定受検は実務経験が必要ですが、期限を気にせず実務経験が積めるのもメリットの1つです。
さらに、2級施工管理技士試験の第一次検定は、17歳以上の年齢であれば、誰でもが受検でき、大きく間口を広がっています。2級の第二次検定に合格すると、実務経験を問わず1級の第一次検定を受検できます。施工管理の仕事に興味がある方は、まずは2級建築施工管理技士補の取得から目指すとよいでしょう。
 

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まとめ

施工管理技士補とは、施工管理技士試験の制度改正で誕生しました。1級施工管理技士補は監理技術者の不足を補う目的があり、監理技術者の補佐として仕事に就くことが可能です。
施工管理技士の検定制度がより柔軟な仕組みに変わったことで、受検しやすくなりました。特に、2級の第一次検定は年齢以外の受検資格がないため、建設関係の仕事に就きたい方は受検する価値はあるでしょう。

新・担い手三法の制定により、建設業界はさらに働きやすくなる環境に変化しつつあります。転職先の選び方や、転職の方向性に迷った場合には、キャリアアドバイザーへお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

ベスキャリ建設 編集部

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