これまでの働き方は正社員が基本でしたが、派遣社員やアルバイトなど多様化が進んでいます。建設業も例外ではなく、派遣社員やアルバイトも戦力として活躍しています。ただ、派遣社員とアルバイトの間には、職種や給料、仕事内容などで違いがあります。今回は、建設現場における労働者派遣を踏まえ、派遣社員とアルバイトの相違点について解説します。
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■建設現場と労働者派遣の関係性
建設現場における労働者派遣の可否、労働者派遣が可能な職種について解説します。
◇建設現場は原則労働者派遣が禁止
労働者派遣法により、建設現場の作業に労働者を派遣することは原則禁止されています。具体的な禁止業務は、建設に関する資材の運搬や組立、掘削、埋め立て、コンクリートの合成、建具や配管などの設置、解体などです。
建設業が労働者派遣に適していない理由は、おもに2つあります。建設業は発注があってはじめて労働力が必要になるため、雇用が安定していないことが理由の一つです。また、派遣元と雇用契約を結ぶ派遣社員は、雇用関係および責任者と下請の関係性も曖昧になることも理由に挙げられます。
そうした背景から、建設業では労働者の雇用安定化、雇用関係の明確化を目的とする「建設雇用改善法」が適用されています。この法に則って、派遣を禁止する代わりに、有料での建設労働者のあっせんや送出、受け入れなどの事業を行なっているのです。
◇施工管理は労働者派遣が可能
建設業での労働者派遣は原則禁止となっていますが、現場の作業に携わらない一部の職種は労働者派遣が可能です。派遣社員として働ける職種は、施工管理・事務員・設計・営業・CADオペレーターなどが挙げられます。つまり、派遣社員の立場で建設現場に立てる職種は施工管理のみです。
派遣社員は派遣元の派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の企業で働きます。派遣社員であっても、正社員と同じように施工管理業務を担います。施工管理は人手不足が続いているため、派遣先の需要は安定しており、一般的な業種より時給も高い傾向にあります。
■建設業における派遣社員とアルバイトの違い
建設業のアルバイトの働き方を踏まえ、派遣社員との違いについて見ていきましょう。
◇建設現場のアルバイトの働き方とは?
需要が安定しない建設業は、忙しい時期だけ人を雇うことが一般的です。建設現場のアルバイトの働き方には長期雇用・日雇いの2種類があり、雇用形態に違いがあります。
長期雇用では、賃金や労働時間などの労働条件を示した雇用契約書を締結します。給料の受け取り方について、月給・週給・日給と自由に選べるケースもあるようです。また、長期雇用(常用)の場合は、労災保険と社会保険に加入します。現場が下請の場合、元請けが下請の労働者も含めて労災保険に加入する決まりになっています。
一方、日雇いのアルバイトはその日限りの仕事で、給料は即日で支払われます。日雇いは常時雇用ではないため、雇用保険や社会保険の加入はできません。
◇【仕事内容】派遣社員とアルバイトの違い
建設業の派遣社員が就ける職種は、施工管理・設計関係・営業など現場の作業に携わらないものに限られます。
例えば、施工管理の仕事内容は、工程・品質・原価・安全という4つの要素を管理するものです。作業員の指導監督から書類作成まで幅広い業務に携わるため、作業員よりも専門性の高い仕事といえます。
一方、アルバイトは資材の運搬や荷下ろし、塗料の準備、穴掘り、片付けや清掃など、簡単な仕事を任されることが一般的です。アルバイトは建設現場だけでなく、解体現場に携わることもあります。解体現場は残業が比較的少ないですが、建設現場は進捗状況によっては残業が発生します。
◇【給料】派遣社員とアルバイトの違い
派遣社員とアルバイトでは就ける職種が異なるため、給料にも違いがあります。派遣社員は月払いが多く、アルバイトは働き方によって月払いもしくは日払いとなります。
施工管理の派遣社員の場合、時給は1,500円程度~2,000円以上と高額です。施工管理業務には建築の知識が必要であるため、一般的なデスクワークと比べて時給が高くなります。設計業務や営業などの建設系派遣社員よりも時給は高く、BIMをはじめとする高度な知識がある場合はさらに高くなります。
一方、建設現場のアルバイトは日給8,000~10,000円以上と、昼間のアルバイトのなかでも賃金は高めです。建設現場の作業は肉体労働のため、他の職種より給料を高めに設定していると考えられます。仕事内容は難しくなく、決められた時間に休憩をとれるため、体力がある方に適しているでしょう。
■建設業のアルバイトより派遣社員を目指そう!
建設業のアルバイトは日給が高いとはいえ、人手が必要なときだけの雇用のため、収入が不安定になりがちです。建設業で長く働きたい場合、アルバイトを続けるよりも派遣社員を目指しましょう。
施工管理は人手不足のため、実務経験がない未経験者でも積極的に採用しています。未経験でも安心して現場に出られるよう、研修やフォロー体制を整えている企業も多いです。
施工管理の経験がある場合は、研修期間が短くなる、給料が上乗せされるなどの優遇措置を受けられる可能性があります。
なお、施工管理は専門性が高いこともあり、アルバイトと比べて仕事の需要が安定しています。正社員の施工管理と同等の給料を貰える場合もあるため、未経験でも挑戦する価値はあるでしょう。
■まとめ
建設業の現場作業に対し、労働者を派遣する行為は法律で禁止されています。労働者を派遣するには需要が不安定であること、労働者の雇用関係が不明確なことがおもな要因です。
ただし、施工管理や事務職、設計など、現場の作業に携わらない職種については、労働者派遣が可能です。特に施工管理は一般的な職種と比べて時給が高く、正社員並みの給料になる場合もあります。
一方、建設業のアルバイトは、片付けや資材の運搬など、簡単な仕事を任されることが一般的です。また、忙しい時期だけの雇用となるため、派遣社員と比べて収入が不安定です。
建設業に興味がある場合は、施工管理の派遣社員として働くのがおすすめです。未経験でも働けるように研修やサポートが充実しているところも多いため、建設業で働くことに不安や疑問点がある方は、現キャリのキャリアアドバイザーにご相談ください。