正社員で働くことが当たり前だった施工管理では、派遣社員という働き方を選ぶ人が増えています。施工管理はサービス残業や休日出勤が多いなか、派遣社員の登場により柔軟な働き方が可能になっています。派遣社員として働くことで、労働環境や待遇面、キャリア形成など意外なメリットもあるのです。ただし、同時にデメリットも存在するため、双方を把握したうえで派遣社員として働くことが大切です。今回は、派遣社員の施工管理で働くメリット、デメリットをすべて解説します。
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■派遣社員の施工管理で働く6つのメリット
派遣社員の施工管理として働くと、以下6つのメリットが得られます。
◇サービス残業がない
派遣社員は派遣元と派遣先の間で交わした契約があり、適正な賃金を支払わない残業や休日出勤は契約違反に該当します。もしも残業や休日出勤が必要な場合、その分の給料は支給されるため、安心して働けます。また、休日も確保されているため、ワークライフバランスが整いやすいのが派遣社員ならではのメリットでしょう。
一方、正社員の施工管理は、サービス残業を強いられることが一般的です。建設業界は残業時間の上限規制の適用がなく、災害復興事業では労働時間の規制が適用外といった要因がサービス残業を助長しているといえるでしょう。
ただし、令和6年4月以降は、一般の業種と同様に、罰則つきの時間外労働の上限規制が適用になります。原則は月45時間、年360時間です。臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間以内など一定の上限が規定されます。
正社員も派遣社員と同様に、サービス残業がない労働環境に変わる可能性が高いでしょう。
◇働く現場を選べる
派遣社員で働く際、勤務地、残業や休日出勤の有無など、希望する条件を提示できます。派遣社員は残業がないのがメリットの一つですが、稼ぎたい場合は残業や休日出勤がある現場を希望することも可能です。ただし、希望はある程度考慮されますが、すべてを聞き入れてくれるわけではないので注意しましょう。
一方、正社員は会社が請け負った現場で働くことが基本です。派遣社員のように希望する条件の現場とはならないため、残業や勤務地など譲れない条件がある方は派遣社員が適しているでしょう。
◇建設業の派遣社員は他業種より時給が高い
施工管理は専門職のため、他業種の派遣社員と比べて時給が高い傾向にあります。経験者を優遇する求人では、月収50~60万円という条件のものも少なくありません。施工管理は人手不足ということもあり、派遣先企業からの需要は安定しています。
ただし、東京などの首都圏、災害復興や高速鉄道建設など、建設需要がある地域に求人が集中する傾向があるようです。
◇未経験でも施工管理で働ける
建設業界は人手不足が深刻なため、未経験でも積極的に採用する企業が増えています。施工管理の派遣社員も例外ではなく、未経験者に向けた研修制度を設ける派遣会社もあるほどです。
研修では基礎を習得するもので、具体的な仕事内容やスキルは現場で吸収する必要があります。とはいえ、未経験でも建設業界でキャリアを築く機会が得られるのは、派遣社員ならではのメリットといえるでしょう。
◇短期間でさまざまな現場を経験できる
派遣社員の施工管理は、1つの現場に半年~1年程度勤務することが一般的です。契約期間が終了すると新たな現場に配属されるため、いろいろな現場での経験を糧に成長できます。
また、勤務期間が決められているため、人間関係などのしがらみがないものメリットといえるでしょう。派遣先での勤務がどうしても難しい場合、派遣元に現場を変えてもらうよう相談することも可能です。
◇新たな可能性の発見やキャリア形成
派遣会社は技術やスキルなどを正当に評価したうえで、派遣先を紹介してくれます。正社員でも評価を受けられますが、一般的に仕事とは別の要素が評価に影響します。派遣社員は現場での働きぶりがそのまま評価されるため、施工管理としての自信につながるでしょう。また、さまざまな現場で働くことにより、自分では気付かなかった適性を見つけることができます。
正社員は会社が受注した現場でしか働けませんが、さまざまな現場で働ける派遣社員は、新たな可能性の発見やキャリア形成に役立てることが可能です。
■派遣社員の施工管理における4つのデメリット
派遣社員の施工管理はさまざまなメリットがある反面、以下のようなデメリットも存在します。
◇ボーナスの支給がない
派遣社員は基本的にボーナスがありません。ボーナスが支給される派遣先もありますが、正社員と比べて少額なことが多いようです。施工管理は派遣社員のなかでも月収は高額になる反面、ボーナスの面では正社員のほうが好待遇といえます。
◇雇用が不安定
建設業界は景気の影響を受けやすいため、仕事が増えたり減ったりすることが当たり前の環境です。派遣社員は不足する人員の穴埋めとされるため、需要がないと仕事を切られる可能性が高くなります。また、景気の低迷で現場の数が減ると、働きたい現場を選べなくなる点もデメリットといえるでしょう。
一方、正社員は建設需要が低下しても解雇されることはないため、派遣社員よりも安定しているのは事実です。
◇繁忙期は残業や休日出勤が必要
派遣社員はサービス残業がないとはいえ、繁忙期は残業や休日出勤することになります。残業したくないという理由で派遣社員になった場合、残業がある事実をデメリットに感じるかもしれません。
派遣社員にも、適正な残業代を支払う必要があります。人件費削減のために残業させない現場もあるようですが、そのような派遣先はごく一部です。忙しい時期は残業や休日出勤があると心得ておきましょう。
◇施工管理業務の分業
大手ゼネコンの施工管理として派遣された場合、施工管理業務が分業されていることがあります。施工管理としてすべての業務に携わりたい場合、派遣社員の立場はデメリットとなる可能性があります。
施工管理の能力が向上する業務は、派遣社員ではなく、正社員の施工管理が回されることが多いようです。正社員の長期的なキャリア形成のため、正社員を優先的に育成することは当然といえます。
ただし、施工管理として現場を預かる以上、派遣社員でも必要なことは教えてくれます。責任ある仕事をしたい場合、自らが学ぶ姿勢を示し、派遣先企業から認められることが大切です。
■まとめ
派遣社員の施工管理として働く場合、派遣元と派遣先企業の契約があり、正社員のようなサービス残業がほとんどありません。繁忙期は休日出勤する必要がありますが、働いた分の残業代はすべて支払われます。休日も確保されているため、正社員よりもワークライフバランスが整いやすいのは派遣社員の魅力でしょう。また、派遣社員は仕事の適正な評価が得られるうえに、新たなキャリア形成にもつながります。
ただし、景気により雇用が安定していない、仕事の責任が軽いなどデメリットも存在します。自分が希望する働き方を明確にしたうえで、派遣社員を目指すことが大切です。
正社員から派遣社員へ転向するか悩んでいる方は、キャリアアドバイザーにご相談ください。