施工管理者のメジャーな国家資格である「施工管理技士」を取得していると、フリーランスとして活躍することが可能です。フリーランスは会社に属さない働き方で、調整次第では会社員の施工管理技士よりも働きやすくなることもあります。
今回は施工管理技士におけるフリーランスの働き方、フリーランスのメリット・デメリット、派遣社員との違いについて解説していきます。
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■フリーランスの施工管理技士の働き方とは?
フリーランスの基礎知識を踏まえ、施工管理技士における働き方を紹介します。
◇フリーランスは企業に属さない働き方
フリーランスは企業との直接雇用ではなく、さまざまな企業と仕事ごとに契約を結ぶ働き方です。
建設会社では会社が受注した工事の施工管理に携わりますが、フリーランスの場合は自分で仕事を獲得しなければなりません。建設業で独立する方法と同様に、フリーランスの施工管理技士も、人脈から仕事を受注することが一般的です。
近年はフリーランスの人も増えたことで、マッチングアプリを使って仕事を得る方法もあります。ただし、年収を安定させるためには、お得意様の取引先を作っておくと安心です。
◇フリーランスの施工管理技士の年収とは?
施工管理技士の年収は、480万円~540万円がボリュームゾーンとされています。
しかし、フリーランスの施工管理職として働く場合、規模が大きい現場と契約できると一気に年収が上がる可能性もあります。
取引先との交渉により受注金額を上げる、複数の取引先を開拓するといった方法でさらに収入が安定します。人脈が広がり取引先と信頼関係が築けると、会社員よりも収入がアップすることも夢ではないでしょう。
■フリーランス施工管理技士のメリット・デメリット
フリーランスの施工管理技士として働く場合のメリット・デメリットを紹介します。施工管理技士で独立を検討している方は、自分に合う働き方かどうか見極めましょう。
◇【メリット】ワークライフバランスの向上
会社員の施工管理技士は、長時間労働や休日出勤など、十分な休みが取れないことも少なくありません。一方、フリーランスはプロジェクト単位のことが多く、仕事量を自分で調整することが可能です。
自分の裁量で休日を確保できるため、ワークライフバランスが会社員よりも充実します。家族との時間が増える、旅行に行けるなど、プライベートの時間を自由に使えるのはフリーランスならではのメリットでしょう。
ただし、プライベートよりも収入アップを目指したい、実績を積みたいという場合もあるでしょう。仕事を優先させたい場合、複数の取引先を掛け持ちするのも方法のひとつです。
◇【メリット】仕事を自分で選べる
建設会社の会社員は会社側が請け負う仕事を任されるため、自分で仕事を選べません。一方、フリーランスでは自分の得意分野など、仕事内容を選んで受注することが可能です。
また、仕事内容が合わない、待遇面の折り合いがつかないなど、自分が納得しない仕事は断ることもできます。
◇【デメリット】収入が安定しない
会社員は仕事が選べませんが、決まった給料が保証されるメリットがあります。フリーランスの場合、仕事を探し続けなければならないため、収入が安定しません。
また、施工管理の技術と人脈がない場合、収入が安定しないばかりか、会社員よりも収入が減る可能性も考えられます。確定申告や年金、健康保険の支払いも自分で対応する必要があり、施工管理以外の仕事が増えるという覚悟が必要です。
◇【デメリット】主任技術者・監理技術者になれない
主任技術者・監理技術者とは、建設業許可を取得した業者が請け負う現場に配置する技術者のことです。主任技術者および監理技術者になるには、企業に直接雇用されているなどの要件が求められます。
したがって、フリーランスという立場では主任技術者・監理技術者になれません。
施工管理技士の資格と豊富な実務経験がある場合でも、請け負う企業の社員でなければ技術者になれないのです。
そのため、フリーランスの施工管理技士は、プロジェクトのスポット的な施工管理職という扱いになります。
主任技術者・監理技術者としての経験が少ない、または責任あるポジションで働きたい場合、フリーランスよりも正社員が適しているでしょう。
■施工管理技士のフリーランスと派遣社員の違い
施工管理技士はフリーランスだけでなく、派遣社員として働くことも可能です。そこで、派遣社員の概要、フリーランスとの共通点や違いを紹介します。
◇派遣社員とは?
派遣社員とは、雇用契約を派遣会社と結び、派遣会社が就業先に社員を派遣する働き方です。給与は派遣先の現場ではなく、派遣会社から支払われます。給与は時給制が基本で、ボーナスの支給がないケースが一般的です。ただし、時給は1,500円~2,500円程度と比較的高いため、まとまった収入が得られるでしょう。
また、雇用期間は最長で3年間まで、3ヵ月ごとの契約更新が一般的です。施工管理の場合、案件ごとに契約更新するケースもあります。
◇施工管理技士は派遣社員で働くことも選択肢の1つ
フリーランスと同様に仕事を選べるうえに、正当性のない残業は断ることが可能です。時給と契約期間が明確で収入が安定しやすく、ワークライフバランスも整いやすいのはメリットといえるでしょう。
ただし、派遣社員の施工管理職は現場の管理を任されるため、施工管理業務の経験や施工管理技士の技術など、即戦力の人材が求められます。施工管理の経験と技術があれば、高額の仕事を紹介してくれる可能性もあります。仕事ぶりが評価されると、正社員よりも年収が高くなることも夢ではないでしょう。
また、フリーランスとの違いは、正社員のように税金や社会保険の手続きを雇用契約がある派遣会社がやってくれることです。派遣社員はフリーランスと会社員の両方の良さがあるため、自分の技術力や求める働き方で検討しましょう。
■まとめ
建設業は独立しやすい職種で、建設現場を取り仕切る施工管理技士はフリーランスとしても独立できます。施工管理職としてやるべき仕事は同じですが、会社員、フリーランスと働き方によりメリット・デメリットが異なります。仕事は自分で獲得する必要があり、かつ収入は安定しにくいので注意が必要です。ただし、取引先と信頼関係を築いたり、複数の取引先を作ったりすると、会社員以上の収入になる可能性は十分あります。
また、派遣社員も独立後の働き方の1つで、フリーランスとどちらが自分に合うか検討してみてもいいでしょう。